ジョーン・バエズ、「ダイアモンドと錆」


私は黙ってしまう
あたたの亡霊がまたやってきたから
それもとても自然に
月はきれいな満月で
あなたはたまたま私に電話してきたのね
私はここに座ってる
あなたからの電話を手に持って
わたしの知ってるあなたの声が聞こえてくる
ほんの数年前
私達は突然別れてしまったわよね

あなたの目とてもよく覚えてるわ
コマドリの卵より青くって
「お前の歌詞は鬱陶しい」あなたは言った
あなたはどこから電話かけてるの?
中西部の電話ボックスからかしら
あれは10年前、あなたにカフスボタンを買ってあげたわね
あなたも私に何かくれたわ
わたしたちは思い出が何をもたらすか知ってる
思い出がもたらすのは、ダイアモンドと錆

ああ、あなたはシーンに突然現れて、会った時は既に伝説の人だった
世の中に洗われていない現象
だれよりオリジナルな漂流者
あなたは、私の腕の中にとどまってたわよね
私の腕の中にとどまって
時には海でさまよった
聖母はあなたのものよ、好きにしていいわ
そう、貝殻の上に立つ女の子は
あなたが傷つくのを守ってくれるわ

今わたしは木の葉散る季節にたたずむあなたを見てる
髪には雪がまとわりついて
そしてふるぼけたホテルの窓を開けてにっこり微笑みながら
ワシントンスクエアを眺めてた
私達の息は白く
空気に混ざり合いさまよった
私に厳しく言ったわね
「俺たちはあのときあの場所で、もう死んでたのかもしれないな」

今あなたは、思い出につまされる事なんて無いと言う
そして、もう一言つけくわえた
言葉をあやつるのがとても上手なあなた
そして、ものごとをあいまいにしてしまうのも上手よね
私もあなたのそのあいまいさが必要なのかも
思い出のすべてがあまりにもはっきりとわたしのこころに甦るから
ええそうよ、私はたしかにあなたの事こころから愛していた
あなたが今私にダイアモンドと錆をくれるというなら
私はもう代金を払っているはずだわ

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YouTube - Joan Baez, Diamonds and Rust - Live, 1975