<p>以前、太平洋戦争をテーマにした映画『硫黄島からの手紙』を鑑賞した。そのなかで、玉砕を前にした多くの将兵が、家族などに書き残した手紙を、米兵に見つからないように土に埋めるシーンがあった。一緒に見た友人は「手紙は相手に届かなければ意味がないのに。何で埋めたんだろう」と不思議がったが、私には、死を目前にした彼らが防空壕のなかで、ロウソクの光の下、最後の言葉を書き綴った気持ちが痛いほど分かる。</p>
<p>5年ほど前だったか、ヒマラヤ遠征での出来事。上部キャンプで悪天候に閉じ込められ身動きが取れなくなった。吹雪で飛ばされそうな小さなテントに独り閉じ込められ、「俺はここで死ぬのか」と覚悟を決めなければならなかった。ひしひしと近づいてくる死の世界。仲間に「書けるうちに遺書を書いたほうがいい」と伝え、そして自分も手元にあった紙切れに、日本に残した家族やスタッフに向けた手紙を書こうとするのだが、いざ遺書を書き始めてみると、なかなか言葉が出てこない。これが最後のメッセージになるかと思えば思うほどに、言葉が出てこないのだ。そして書き始めたら、今度は止まらなくなった。すぐに紙がなくなり、気が付いたらマットやテントに油性マジックで書きつづけていた。</p> — <a href="http://news.goo.ne.jp/article/php/life/php-20090823-01.html" target="_blank">「殺された」戦死者の思い:野口 健(アルピニスト)(1)(Voice) - goo ニュース</a> (via <a href="http://gkojax.tumblr.com/" target="_blank">gkojax</a>) (via <a href="http://reretlet.tumblr.com/" target="_blank">reretlet</a>) (via <a href="http://komahiko.tumblr.com/" target="_blank">komahiko</a>) (via <a href="http://nuremochi.tumblr.com/" target="_blank">nuremochi</a>) (via <a href="http://yuco.tumblr.com/" target="_blank">yuco</a>) (via <a href="http://tigerbutter.tumblr.com/" target="_blank">tigerbutter</a>) (via <a href="http://carandache.tumblr.com/" target="_blank">carandache</a>)