Fortuneは最近Steve Jobsをこの10年間のベストCEOに選んだ。当然だろう。Appleは巨額の利益を生んでいるだけでなく、時価総額はちょうどGoogleに匹敵し、AT&T、HP、Intel、Dellを始め、他の無数のIT関連企業よりはるかに巨大だ。
しかし、それらは小さいことだ。われわれの住んでいるこの世界がJobsがAppleに帰還していなかったらまったく違ったものになっていたはずだ。われわれはいまでも不便きわまる携帯電話地獄にいただろう。とうてい快適にウェブの閲覧ができるようにはなっていなかったと思う。そして間違いなくPandoraやSkypeなどサードパーティーのすぐれた携帯アプリケーションは登場していなかったはずだ。今でもわれわれはキャリヤが押しつけてくるくだらないアプリに囲まれていただろう。Android、Palm Pre、Blackberryなどが登場できたのも、Appleが携帯アプリ自由化への道を切り開いたからだ。2006年の携帯がどんなだったか思い出せば、それだけでAppleがiPhoneを作ってくれたことだけでも感謝したくなる(なるほど私は最近、iPhoneからAndroidに乗り換えた。しかし依然としてiPhoneがすべてを創ったことに変わりない)。
Steve Jobsはすべてのメジャー・レーベルを説いてDRMを止めさせた。Jobsはほとんど単身で全音楽産業の構造を根本的に変えた。今日のデスクトップ、ノートパソコンのルック&フィールがMacbookやiMacから強い影響を受けていることは一目瞭然だ。
もちろんAppleが間違ったやり方を全くしなかったわけではない(MobileMeの失敗がまず頭に浮かぶ。私自身はといえばMacbook Airはトラブルに次ぐトラブルだった)。またiPhoneに関する態度は腹立たしいのを通り越していささか邪悪だ。
しかしそんなことは問題ではない。Steve JobsがAppleに戻らなかった世界は今よりずっと楽しくないものになっていただろう。Jobsはふさわしい地位を歴史上に与えられるべき伝説的人物である。この感謝祭を機に、私はSteve Jobsに感謝をささげたい。皆さんも同感だと思う。
(via 今年の感謝祭の感謝はスティーブ・ジョブズに捧げたい―1997年のAppleへの帰還はきわどかった )