<p>筆者の分析によると、人間の危機の対処は3つのプロセスを踏む。</p>
<p> * 危機に直面すると、人間はまず「否認」する。「こんなことが起こっているはずがない」と、目の前の危機を全否定<br/>
* あるところで危機の甚大さに気づき、次は、取るべき行動を考える「検討」プロセスに入る<br/>
* そして検討結果を「実行」</p>
<p>ところが、「気づき」の後は、かなりの人が「全身から力が抜けて体が動かない、頭もぼーっとなって何も考えられない」という「茫然自失状態」に陥ってしまうのですね。</p>
<p>その状態になっても、他の誰かから力強く行動の指示を出されると、ゾンビー状態ながらになんとか脱出行動に出られるのだが、そうでないと、「茫然自失」のまま死んでしまうことが多々ある。例えば、火事の現場で、円卓を囲む椅子に座ったままの複数の炭化死体が見つかったりする。まだ火が回りきらないうちに、「避難せよ」という指示があったにもかかわらず、である。</p>
<p>9/11でも、自分のいたフロアに留まって亡くなった人たちが多数いたが、多くは避難しようとしなかったのではないか、と筆者は推測する。WTCに数千人の社員がいながら、死者が13人しかでなかったモルガンスタンレーでは、「リスク管理責任者」が元軍人で、戦場で茫然自失する部下を統率した経験を持つ彼が、拡声器で「動け動け」と連呼し続け、最後は歌を歌って励まして、やっとのことでみんな階段を下りて行ったそう。「責任者」氏は、「他の誰かから力強く行動の指示」が必要である、ということを実戦経験で知っていたのですね。(ご本人は最後までWTCに残り亡くなった)。</p> — <a href="http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/11/unthinkable.html" target="_blank">On Off and Beyond: 人間は危機に直面すると固まるらしい</a> (via <a href="http://yuco.tumblr.com/" class="tumblr_blog" target="_blank">yuco</a>)