訳あって、今年の採用活動に出遅れます。
出る杭は打たれる、とは良く言ったもので、
周囲にあわせる、という事を無意識にやってしまうのは、日本人ならではかもしれません。
私たちキヤノンマーケティングジャパンの新卒採用活動も、
大学3年生の後期試験終了とともにセミナーを始め、大学4年の4月になったらすぐ、選考を行う、
といういわゆる”一般的” なものでした。
今年も、10月には就職情報サイトにプレエントリーを募り始めました。
しかし、私たちにはある迷いがありました。
サブプライム問題に端を発した景気低迷が続き、
さらに円高やドバイ・ショックなど、景気回復の妨げとなる出来事が世界経済を覆う中、
私たちも計画通りの業績を上げられずに、苦戦しています。
この状況の中、人員計画を正確に予測することは困難を極め、
現時点で、”2011年に新卒を採用する” という最終決定には至っていません。
「果たして、このまま見切り発車で採用活動を続けるべきなのだろうか」
学生のみなさんに迷惑をかけるわけにはいきません。
だから、他の企業と横並びの採用活動をやめることにしました。
正直に学生のみなさんと向き合った上で、新卒採用活動そのものについて、もう一度考え直そう。
もうひとつ、懸念していた事がありました。
新学期が始まったばかりの4月から面接を行うことで、
学生のみなさんから学ぶ機会を奪っているのではないか?
経団連の提唱する『大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章』では、
「卒業・修了学年の学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、
選考活動の早期開始は自粛する」と書いてあります。
ですが、各企業は「大学4年生になったら選考活動をしても大丈夫」との暗黙の了解のもと、
4月から一斉に選考活動を行っていました。
これは、私たちも含めた企業側の「都合のいい解釈」だったのかもしれません。
そこで、私たちは決断しました。
2010年1月から3月までの業績を見た上で、今年の新卒採用を行うか判断する。
採用活動を行うのであれば、4月以降にきちんと伝えよう。
そして選考活動は、いっそのこと夏季休暇期間中にすればいい。
正直、選考時期を夏にする事には葛藤がありました。
社内では、「優秀な人が他社に先に採用されてしまうのでは?」という不安の声も上がりました。
ただ、”就職活動早期化” に対しておこる様々な問題に対し、真摯に向き合い、
解決策を採り、より正しい”就職活動の在り方” を追求し続けていくことは、
私たち企業側の責務であり、義務なのです。
一企業である私たちの採用選考に関する決断は、ごく小さな波紋でしかありません。
ただ、このアクションに共感してくれる企業と学生が、一社ずつでも一人ずつでも増えることで、
就職活動が、他人との競争ではなく、自分の可能性を探す機会になるはずだと信じています。
2009年12月
キャノンマーケティングジャパン株式会社
人事本部 採用科
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