<p>芸術、アート(art)の語源はラテン語のアルス(ars)で、技術、才能などを意味したが、さらにその語源を遡るとギリシャ語のテクネ(techne)に行き着く。テクニック、つまり「技術」の元となった言葉は、「芸術」を意味していた。ちなみに芸術家(artist)と職人(artisan)の出自も同じ。</p>
<p>テクネには、「内在する原理を正しく理解した上で何かを為す(ものを作る)能力」と「金細工師がもっている実用以上の装飾技術、能力」という意味があった。</p>
<p>芸術が「内面の表出」とか「価値観の変革」といったいささか文学的哲学的な観点で語られるようになったのは近代以降であって、芸術にはもともと、「物事の原理の理解」と「実用という目的を持たない技術」という二つの意味があったのだ。</p>
<p><br/>
これはなかなか核心を突いた定義である。アーティストとは、それぞれのジャンルの原理や法則を理解した上で、実用とは直接結びつかない方法や技術でもって、何かを作り出している人々。確かにその通りじゃないですか?</p>
<p>作曲家は音や響きの法則を駆使して音楽を生み出すのだし、画家は平面と色と形の原理を知り尽くした上で絵を描く。ダンサーは身体の法則を熟知して跳んだり跳ねたりする。それはまったく実用的ではない、具体的な目的を持たない動き、技である。それが鑑賞の対象となる。</p>
<p>古典的なアーティストだけではない。ヘア&メイキャップ・アーティストと呼ばれる人々だって、人間の髪や骨格、皮膚の原理を正しく理解した上で、実用とは言えない技をそこに施す。すばらしいと言われるのかケッタイだと思われるのかは、また別の話だ。</p> — <a href="http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20100227/1267275829" target="_blank">フィギュアを見て「技術か芸術か」について考えた - Ohnoblog 2</a> (via <a href="http://footwork.tumblr.com/" class="tumblr_blog" target="_blank">footwork</a>)