<p>たとえば、ユークリッドの幾何学原論で提示された「公理」は2000年以上に渡って活用されています。この「公理」を決める経緯がなかなか興味深い。<br/><br/>
当時のギリシアは(というかその後のローマもそうだけど)奴隷制でした。労働は全て奴隷がやるわけで、由緒正しいギリシア人は働いちゃいけない。働けないと非常にヒマなわけですね。ということでヒマをつぶすために幾何学の証明問題に多くの人が没頭し、結果、ほとんどの証明を終わって証明の網の目を作ってしまうことになります。<br/><br/>
ところが待て。この証明を良く見るとそれぞれが枝分かれのような構造になっていて体系化されることがわかったのですが、一番基本的な事実は他の事実=定理を証明するばっかりで自分はちっとも証明されていないことに気づいてしまった。<br/><br/></p><div>
証明の枝分かれの、ちょうど出発点になっているところについては、仕方ないので「理屈抜き、証明抜きでコレは正しいことにしよう」ということになった・・・これが公理です。</div>
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ところで、公理がよそから証明されると非常にカッコ悪いので、よくよく吟味が重ねられ、最終的には5つに絞り込まれることになりました・・・この5つの公理から幾何学の知識はすべて証明(の連鎖)によって跡付けることができるようになったわけですが、 このことを記した本がユークリッドの「幾何学原本」です。</div>
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実はユークリッドが実在の人物かどうかよくわかっていないのですが、この本は実在していて、以後二千年にわたってすべての学問の手本となりました。</div>
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ちなみにユークリッドの幾何学原本には次の5つの公理が載っています。</div>
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1:どんな二点のあいだにも、一本の線分が引ける</div>
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2:線分を好きなだけ延長できる</div>
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3:好きな点を中心に、好きな半径の円を描くことが出来る</div>
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4:直角はどれも等しい</div>
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5:直線外の一点を通って、その直線に平行な直線を、一歩だけ引ける</div>
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この「根っこ」をもとに、その後二千年間の全ての数学理論は築かれることになったわけです。<br/></div> — <a href="http://artsandscience-kipling.blogspot.com/2013/01/20.html" target="_blank">Arts & Science: 経営学2.0</a> (via <a href="http://yukio.tumblr.com/" class="tumblr_blog" target="_blank">yukio</a>)