<p>初めてニューヨークに逗留した際に、ビートルズは——間違いなく幾ばくかの性的戯れと刺激一般を求めて——ザ・シュープリームスを彼らのホテルのスイート・ルームに招いたが、ダイアナ・ロスと同僚が到着したとき、双方が唖然とした。シュープリームスはマリファナの煙がたちこめ、ジーンズ姿の四人の男が完全にラリってのびているのを目にした。(略)</p>
<p>[スーツと手袋と毛皮をまとい付き添いを連れた]シュープリームスはビートルズがこんなヤク浸りのクズだなんて信じられなかった。ビートルズはデトロイト出身の黒人娘がこんなにも“ご清潔”で“スクウェア”なのにショックを受けた。相手がこうあるべきという互いの概念が根本的な誤解に基づいていたのであり、出会いはほどなく双方の困惑の重みで崩壊した。デトロイト代表団はビートルズにイギリス人の“品格”とデヴィッド・ニーヴン風の懇勲さを期待し、ビートルズの方はシュープリームスはベッシー・スミスの歌の化身のような、淫らな地獄育ちのパーティ狂だと思い込んでいたのだ。いかしたモップ頭たちは完全に上昇志向の黒人プロレタリアートの野心に気づけずにいたし、シュープリームスのほうは白人のロックンロール・ボヘミアンをまったく読み違えていた。</p> — <a href="http://d.hatena.ne.jp/kingfish/20100703" target="_blank">ジミ・ヘン…光と影・その2 - 本と奇妙な煙</a> (via <a href="http://kogumarecord.tumblr.com/" class="tumblr_blog" target="_blank">kogumarecord</a>)