科技音楽

雁皮紙によるスピーカ紙コーンの修理

楽器用コンボアンプ(スピーカ一体型アンプ)のスピーカ1発の紙コーンが過入力により破れてしまっていたので修理してみた

紙コーン破れの修理法の1に、不要紙コーンの繊維を薄く剥がしテープ状にして糊を介して欠落部を挟み積層成形していく修理法がある(『スピーカーの修理 振動板(コーン紙)の穴の治し方』ウエブ記事2020、参照2025-06-21:https://tonequality.jp/2020/08/19/sindouban-anahusagi/) 今回は薄くて引っ張り強いと期待できる和紙の雁皮紙をこのテープ材料に選び、積層せずにでんぷん糊を主とした糊で片面に密着させ、欠落部の空隙を糊で充填し成形する方法で楽器用アンプ向けのスピーカとして実用に耐えるかを試した

材料
●楽器用10’30Wスピーカ ― FENDER『V1030』
●雁皮紙 ― 小津和紙石州雁皮紙四ツ判
●でんぷん糊 ― ヤマト『和紙糊 W-100
●トイレットペーパ ― 普通の市販品
●竹ベラ・ピンセットなど

手順
●糊はでんぷん糊1トイレットペーパ1水3(見かけ容積)で混ぜ乳棒などである程度擦って練っておく(ダマはのこってもいい)
●雁皮紙を切って竹ベラで糊を塗りピンセットを使って欠落部表面に置いてから指で挟んで圧着する 補強としての雁皮紙は片面に最小面積で貼るのがよさそう(欠落部の表裏両面に貼ると表裏の構造差で音がビビりそう)
●雁皮紙の接着がある程度乾いたらでんぷん糊の原液を竹ベラで掬って雁皮紙表面・端部がバタつかないように薄く塗布し、また裏面の欠落部空隙には空隙を埋めるようにでんぷん糊の原液をたっぷりと盛る
●十分乾かしてから欠落部まわりを指で押したり打撃音を聞いたりしながらバタつきそうなところを見つけ、積極的にでんぷん糊の原液を盛っていく(ビンテージスピーカには布エッジに含浸させるタール状のビスコロイドなどを流用して紙コーンの破れが鳴かないように補強してあるものがある 他のゴム質接着剤で強引に固める例も多い ここでは糊を固体にして盛り固めていく方針とした)
●ジャンクのCRATEギターアンプのキャビネットに換装し、通電・試験へ ノイズ音が残るときは原因箇所をつきとめ鳴き止めをいろいろためして気がすむまでこれを繰り返す

結果
●部屋でのベース練習用途であれば本方法にて音質上の問題はなかった スタジオにももちこんでみたい

(変更 2025-06-21)

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