中国

中国語の読解入門

中国語の漢詩訓釈書をかったら全くよめなかったのをきっかけに、初学者/NOVICE(B1水準)むけの中国語読解学習法をいろいろためしてみる

方針:
・定評ある資料から最良効果をひきだす学習法、また非効率知識の先取による回り道・しつこい誤解バイアスを避けることをめざした学習法を自己特性にあわせて追求する ここでの定評とは「大学の先生がひいた・かいた資料」、とくに学術文献なら「信頼できる査読ずみ論文・教科書からの引用数」を1次判断基準とする
・教科書なら初期段階において印象効果(サーベイ・エッセンス抽出・動機づけがよいといった直観判断や情動効果があるかなど)をおもくみて、つねに中断を考えながら修得をすすめる 論文・その他資料も書誌・要約以外の閲読に対して同様にあつかう
・ここでの読解学習法の到達目標/GOAL IMAGEは、中国学・聞きとり・会話には設定せず、「中日技術翻訳で1次訳の仕事をとれる語学水準に至ること」とした(内容理解を優先とした)

実行動:
1、ガイダンス本文の探索
●三宅(東京外大)『中国語読解教育の特徴と課題について』(言語教育フォーラム2019、PDF180KB:http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/images/2019/20191204teirei_siryo_miyake.pdf

2、辞書選択
●中国社会科学院『新华字典(双色本)』(12ED、商務印書館2020)
― 現在常見の13000字をあつかい、字形・ピンイン・標点符号の最新規範と、字義・用例を中国語のみでひくつかいやすいミニ字典 ただし2字以上の詞・詞組・成句の見出しはなく、字義の説明部にわずかに含まれるのみ 内容の都度改訂が充実しているので最新版をえらびたい
●香坂順一EP(大東文化大)『現代中国語辞典』(光生館1982)
― 新華字典で不足する字・詞の理解につかう 人気の小学館『中日辞典』より便利につかえそう 中国語でひく標準辞書には●中国社会科学院『现代汉语词典』(7ED、商務印書館2016)があり、日本語対訳の用例が不要なら学習用にもつかいやすい また古代中国語を現在中国語で語義・出処あわせ調べるには●吳澤炎他編『辞源』(修訂版全4冊、商業出版社1979-1983)をやすくみつけるとよいとのこと また字の原義を知るには●段玉裁『説文解字注』がいずれほしくなる
●商務印書館&英オクスフォード大『OXFORD ADVANCED LEARNER’S ENGLISH-CHINESE DICTIONARY』(7ED-3RD、2009)
― OALD英英辞典フルにおまけで現在中国語の訳語が添えてある様式であり、英単語の中国漢字訳を参照する目的でも、ひろく一般に日中英語の語彙の意味範囲を知る目的でも便利につかえる
●戸川他編『全訳 漢辞海』(4ED、三省堂2021)
― 新華字典とあわせて日中漢字の「字形」について、(1)中国最新(2013)通用漢字(簡化字+簡化字のない新字形繁体字)、(2)簡化字に対する新字形繁体字、(3)通用漢字に対する通用異体字例、(4)日本最新(2010)常用漢字・人名用漢字、(5)日中のその他異体字、をそれぞれ簡単に比較するなど便利につかえる 中国の現在通用字と日本の現在常用字等の政府発資料は電子版などで別に準備しておきたい また康煕字典字形(含異体字関係)の参照は●『康煕字典 検索本』などを使わないと結局うまくいかない

3、言語音聞きながし環境の整備
●『北京交通广播』(ウエブラジオ、https://www.ximalaya.com/radio/93
― 北京話による普通話言語音(口頭語・書面語誦読)を期待してヒアリングマラソン・BGSなどに利用する
●『文化纪录片《中国》第三季 第1集:创世 | China S3 | Cultural Documentary | MangoTV』(YOUTUBE50’00”、参照 2023-10-17、https://youtu.be/RzxG-kLdH8U
 ― TV番組『纪录片』歴史シリーズ(第1-3季で34話) 各話1H弱でナレーションが番組CG内に表示されるので、初学者が漢字をガン見して現在中国漢字音の見聞きマラソンをするのに合う 発音確認のためのピンイン参照はまとめページ『CHINESE VIDEO PINYIN TRANSCRIPTION』やポップアップ辞書(EG.PAOCHAIサイトでの紹介、ただしX未対応)をつかうなど

4、読解教科書のとりよせと初見コメント
●施P(北京語言文化大)他『キイ・フレーズで学ぶ新聞中国語』(2ED、東方書店1998)
― 中国の大学で外国むけ語学教科書をつくってきた先生によるコンパクト書(114P) テーマにそって多くの短文が新聞から選ばれ初学者でも文義がつかめる 日本語はコラム和訳の一部のみ 日本漢字の知識があれば読解に限り簡化字の表と辞書をつかい中国語中級(~1600単語)から語学学習にアプローチできる例
●大羽他『商経学生のための読む中国語』(白水社2019、CD付)
― 商社出の語学塾長がかいたコンパクト書(65P) ビジネスやウエブでつかう用語・語法が全文ピンインつき見開き例文におとしてあり、解説ともにCDでの音声データがつく 難度水準は施本と同様
●三潴正道P(みつま、麗澤大)他『時事中国語の教科書 2020-23年度版』(朝日出版2020-23、CD付)
― 様式・水準は施・大羽本と同等で範囲が時事全般のもの 20年版以降はCDだけでなくスマホアプリで可変速再生・中断ができ、読解テキストにあわせて書面語の復誦練習をするのに便利 ただしこれら3冊は日常文読解に焦点をあてているので基本の語彙・文法をおさえていない初学者には自習しにくい
杜荣AP(北京大)『汉语中级教程 International Chinese Course』(北京大学出版社1992、ISBN9787301018941(2 vol. set))
― 上の日本出版3教科書のとる様式の模範といえる教科書 ピンイン・英語の注記は読解基本の重要語のみで、他はすべて中国語にて2冊組・450P・30講座が系統的にまとめられている 読解学習はこの杜本を主軸にして、他書併用にてさらに言語音(音声データ・ピンイン・書面語誦読)と現在語彙を追加学習するのが第1選択にいい ただし入手に困難あり
●『汉语听力速成シリーズ』(2版、北京語言大学出版~2011、CD別売)
― 言語音の当面のリファレンスをまず何かに定める必要がある 上の東京外大ガイダンスには大学教養課程の中途より本シリーズの「中級編」に切り替えとあるが、初学者の自習なら「入門編」から言語音を集中マスターする

  
・初学者むけ文法と音声データつき基本語彙は、●『汉语口语速成入門篇上・下』(2版、北京語言大学出版2007、別売CDはオンライン公開MP3より詳細、発話速度がおそく初学者の復誦にむく)、●山下EP(慶大)『中国語の入門』(最新版、白水2016、言語音・基本語彙の説明が簡潔丁寧で良い、カナ言語音は墨塗などで無視)、●輿水P(東京外大)『中国語の語法の話』(光生館1985、初学者むけ文法講義書)など上のガイダンスにない語学入門書を補助的にさがして、読解を先行する学習方法の全体効率を自分に合う方法であげていく工夫が各自必要だろう

・興味分野の中国語書をいろいろとりよせて読みはじめてみると、そのうち文義がつかみやすくなってくる1ステップ、その次のステップ、に次々とであえるようになる はじめのうちは文法書や語彙習得を基礎からやらないとやはり効果的な語学修得は無理ではとの疑問がつづくが、当面は(のちに再読の前提で)ななめよみしたり、つかえたら少しだけ基本書にもどってからまた色々な興味書を高望みしたりして、これの繰りかえしを幼児の読書のようにたのしんでいくのが結局よいのではないか(興味・意欲を最重視して読解時間を多読でとにかくかせぐ)

5、誦読時の発音と声調の留意点あれこれ
・発音をあらわすピンインのIPA表記(*1-9)に関して、上の『汉语听力速成』音声データをここでの言語音リファレンス(最初にめざす言語音の模範)とし、諸本のIPAを工夫して誦読時にその言語音を再現しやすく工夫した また、声調の修得について初学者不明点に関する気づきをまとめておいた(IPA定義、音声のピッチ抽出ノウハウ、物理指標であるピッチと強度からトーン曲線への心理的変換、その曲線での声調分類認知、などに議論があるので注意)
・語の声調をおぼえるには詞語/EXPRESSION(詞+詞組)や文におけるその語のリズム・語気をつかむ方法がいい 初学者にはやはり平仄の詩律によりリズム・語気が自然に身につく唐詩の暗記・暗誦から入るのが最も効率的だろう
・本項は、これで会話が通じたという経験ではなく、誦読法の机上論なので、会話への実用には経験者助言が必要

(1)母音(介音・元音・韻尾の組である韻母/FINALをここではまとめて母音とした、単母音の数は10、【】内は政府批准規範*10にある注音符号)
(1.1)E【ㄜ】[ɤə]
― 調音[o]の円唇をといた非円唇奥舌調音[ɤ]の母音後半がシュワ/SCHWAの調音[ə](生産音の例はAGAIN・SOFA)へと音節内推移する音 調音[ʊə]の生産音を非円唇でめざした近似音とも分析できる 教科書的には[ɤʌ]とのこと*6 軽声・高速時には短縮音になる
(1.2)U【ㄨ】[u]
仏語にめだつ円唇を突出した奥舌調音の音 「♪嘴巴突出 U是老乌鸦的乌/Uはカラスのお口みたいに唇とがらせて」(中国小1教程例より)
(1.3)~I(ZI・SI・CIの3音節)[ɿ]
子音を非円唇のまま延長し加声変調/PHONATIONで母音化した音(調音[ʊ]の生産音から近い音、 調音[ʊ]生産音の例はBOOK・PULL・FOOT)
(1.4)~HI(ZHI・SHI・CHI・RIのそり舌4音節)[ʅ]
そり舌調音を非円唇のまま延長し加声変調で母音化した音(調音[y]の生産音から近くも聞こえるが、調音点である上歯茎にむけて反った舌突/TIPうしろのくぼみ/HOLLOW空間でこもる音である 対照的に[y]は円唇で舌突の位置は咬舌高(舌端を上下歯で挟む高さ)より下であり、そり舌調音のこもる音ではない点に注意)
(1.5)ER【ㄦ】[ɑɚ]
― 二・而・耳など、後舌調音[ɑ]による母音後半がㄦ化調音[ɚ]へと音節内推移する音(ㄦ化調音[ɚ]生産音はそり舌歯茎接近調音[ɻ]の子音を延長して加声変調で母音化する) 教科書的には[ʌɚ]とも*6 また、単語に「~ㄦ」がついたときは音節内韻母の韻尾部にこのㄦ化調音の生産音を音位させる(EG.[ɑɚ]・[iɚ]・[uɚ]・[yɚ]、平井1969*7を改変)
― 声母/INITIALがピンインRのときは先頭子音としての始動調節/INITIATIONをうけて濁音摩擦調音[ʐ]にて生産される音と解釈できる つまりピンインの韻母「~R」と声母「R」はそり舌調音を共有して生産される異なる言語音である
― そり舌調音(ㄦ化調音/RETROFLEX ARTICULATION)に関して補足:声母のㄦ化調音は摩擦調音[ʐ]と接近調音[ɻ]の合成とかんがえる ここで基準にしている音声データでは、後続音の調音がE[ɤə](EG.熱RE4・惹RE3)や、~I[ʅ](EG.日RI4)の口腔内フォームのときには、舌端うしろの浅いくぼみ/HOLLOWが緩和して(キャットフォード『実践音声学入門-5.4調音:位置-歯・歯茎調音』を参照)、日本語ら音への調音[ɾ](層流をつくる)よりは仏語JE音への調音[ʒ](乱流をつくる)につよく寄って生産される音に聞こえる場合が多い 逆に後続音の調音フォームがA[a]・O[o]・U[u]・Ê[ɛ]のときは日本語ら音に寄る傾向がみられるようだ(詳細な法則性は不明)
― よくみかける発音ノウハウでは「発音[ʃ]の口腔内フォームのまま有声音をだせば子音Rの発音になる」とあるが、北京語にない(そり舌調音でない)調音[ʃ](EG.SHEEP)のフォームからはじめてしまうと、舌突の調音ガイダンスなしにここの音空間を探索してたどりつくのは難しい(ヒス音の発生源位置(調音位置)つまり空隙狭窄位置が調音[ʃ]での硬口蓋広域から調音[ʂ]での舌突まわり局部に移動する) 母語話者などはピンインSHの調音[ʂ]フォームから加声変調するので直接子音Rの言語音になるが、それができない初学者に英語SHの調音[ʃ]を指示しても中国語には2種のSH類似音であるSH[ʂ]とX[ɕ]があり奏効しない そり舌フォームの確認法として、そり舌音ではその子音調音フォームのまま息を吸うと舌突が弁として閉じ子音音がでないことがわかる(EG.英語SHの調音[ʃ]フォームは吸気でも同子音音がでる、ピンインSHの調音[ʂ]ではでない) ピンインXの調音[ɕ]はそり舌調音[ʂ]でなく英語SHの調音[ʃ]でもなく更にスペクトラムを高周波側によせる調音である(横にひろい舌縁/RIMが下歯裏にふれ乱流発生源位置が歯の裏あたりになる)
(1.6)Ê【ㄝ】[ɛ]
― 半開前舌調音/HALF-OPEN(CF. 仏語BÊTE) この調音の生産音は短母音でつかわれず複母音であらわれるのみで、ピンインもこの記号を採用しないが、政府批准規範に載るもの
(1.7)複母音・鼻母音
― それぞれのピンイン字母の組み合わせにおいて、調音で弁別できる生産音の個別特性が出る:
AI[ai]、EI[ɛi]、AO[ao]、OU[ou]、IA[ja]、IE[ijɛ]、UA[uwa]、UO[uoə]、ÜE[yɛ]、IAO[jao]、IOU(IU)[iju]、UAI[uwai]、UEI(UI)[uwɜi]、
AN[an]、EN[ɜn]、ANG[ɑŋ]、ENG[ɔŋ]、IAN[ijɛn]、IN[in]、IANG[ijɑŋ]、ING[iɜŋ]、UAN[uˈwan]、UEN(UN)[uɜn]、UANG[uwɑŋ]、UENG[uwɔŋ]、ONG[oŋ]、ÜAN[yan]、ÜN[yn]、IONG[ijuŋ]
― [ɔ]はOPEN-O調音(CF.AUDIENCE・SAW)、[ɜ]はシュワの調音[ə]や非円唇奥舌調音[ɤ]にくらべて先の[ɛ]や日本語え音への調音[]に寄せた調音での生産音
― 鼻母音ANとANGの後半調音[n]と[ŋ]のちがいはそれぞれの閉鎖を有声の加声変調/PHONATIONで開放した生産音が「な」になるフォームが前者「鼻音のが」になるフォームが後者で、このとき前者調音では舌突を上歯茎裏まで移動接触させる必要があり、日本語話者には聞き取り弁別ふくめむずかしい(ほとんどのNが中国語NGの言語音になってしまい聞く話すとも違いを弁別できない) 初心者向けにAN等発音時はまず舌端/BLADEを両歯ではさむフォームにて閉鎖させるトレーニング(咬舌法)があるとのこと
― ピンインÜANの調音[yan]はさらに上の[yæn]-[yɛn]にまでゆれることもおおいが詳細な法則性はいまのところ不明

(2)先頭子音
― ピンインT・P・KではIPA表記での有気[ʰ]調音(開放後の長いヒス音になる)が聞き定められないと、聞く話すともD・B・Gとの区別ができない たとえば[t][d]加声変調での物理音素の分類より、有気調音[ʰ]有無での物理音素の分類のほうが重要である 上で言語音基準とした音声データで聴力問題をやると、素朴にきく[t][d]ともピンインDに、[tʰ][dʰ]はピンインTに対応とわかる
― この類の言語音差異また文構造差異は地方や時代・世代によっておおきな分散で分布するが、たとえば現在では、若者を中心に広東省あたりでも仕事・生活で普通話(=国語)をつかい、広東語(~粤語(えつご))を使わない人が多いとのこと(深センでのビジネスパーソン聞き取りより)
― 初学者には、そり舌子音(EG.ピンインZH・CH・SH)とそれに対向する非そり舌子音(EG.J・Q・X)のちがいは、発声時の調音において舌突の位置を咬舌高より上下させることで代用できる これらの聞きとり盲検をしても言語音が似て聞こえるため違いを弁別できないことがほとんどだろう
― 同様にピンインÜの調音[y]でも初学者にはまずは舌突を咬舌高より下にすると音が決まるようだ この位置が上だと日本語話者は日本語ヤ行音に訓化されているため矯正しても中国語音からどんどん離れてくるだろう(EG.月(調音[yɛ])がそのうちユエになってくる)

(3)声調
会話経験がなくここに挙げた気づきが修得の助けになるのかはっきりしないが、上の『纪录片 – 中国 – S3.1』冒頭ナレーションをギター(12平均律)で歌唱メロディとしてコピーする方法でピッチ抽出(演算的ピッチ抽出結果とは大きくことなる)してみると、この番組に特殊な現象としてではあるが以下の規則がわかった:
― 誦読時の楽器伴奏はキーBmであり、誦読のトーン対応ピッチもおよそBマイナーペンタトニックスケール音程でならべられる(「実音/PITCH=音程/INTERVAL」の表記にてF#=V, A=VIIb, B=I, D=IIIb, E=IV)
― 声調/TONEはピッチ(楽器など単純音で対象音声の高低をなぞったときの主周波数/DOMINANT FREQ.が現在のANSI-S1.1でのピッチ定義)に対する心理指標として、上のそれぞれを1, 2, 3, 4, 5に対応させられる
― 以上のトーン表記規則にてビデオナレータの普通話4声調での基本トーンパタンは以下と聞き取れた(-・\・/は曲線変化/CONTOUR、[]は強度・維持区間とも重音/STRESS重部分、()は弱強度へのフェードインアウト、また声調の平仄論上分類(平坦/LEVELをあらわす高長・低長を「平」、傾側/OBLIQUEをあらわす上昇短・下降短を「仄」、旧読音の入声も短促として後者に分類)も併記、これらトーン聞き取りは聴者主観・心理スケールでのフィッティング操作におおきく依存すること、またストレスパタンが独立に重畳し変化することにも注意):
 ・陰平[5-] =平(高長)
 ・陽平[1/3] =平(低長)
 ・上声(3)\[1]/(2) =仄 (上昇短)
 ・去声[4]\1 =仄(下降短)
― 全声調とも文構造内トーン曲線の振幅・バイアスに文中での小規模局所変調があり、ストレスパタンにより拡大縮小・平行移動するもの、前後分節からのにじみ/SMEARやフレーズ・文のイントネーションからおそらく略規則的に発生している
― 上の小規模変調の一部例として、ストレス重部分では陽平は1/[5]まで拡大しうる、ストレス軽部分では陽平は1/[2]まで去声は[2]\1まで縮小しうる、陰平はストレスパタンや前後分節により[5]-から[2]-まで縮小・平行移動しうる、軽声も前後にじみからトーン平行移動先が様々に揺れる
― イントネーション上、文末や読点前の陽平は到達ピッチが不規則にフラットする:1/[2+] から1/[1-](下降傾向トーン)まで様々に揺れる また復文末の大きなイントネーション区切り(ポーズ)では、結末語気として[1]からオクターブ下段の[4]まで全体のトーンが平行移動的に下がりうる
― 上声連続時の変調ルール(上声-上声とつづく連音節は陽平 – 上声に変調、MD332と略記など)では、つづけて[1]/(3) 4\[1]/(2)となる 同様に「一」関連の変調ルールとして、たとえば一 – 去声連音節は陰平から陽平-去声に変調し(MD142)トーンは[1]/3 [4]\1となるなど
― これら小規模変調の傾向を、声調トレーニング・朗誦ノウハウとして定型化できれば、会話アクセントの不自然さ(EG.初心者なまり)を改善加勢できる
― 初学者が声調をマスターするには、聴力とそれにもとづく言語運動能力とをリンクさせともに精度を高めていく模倣部分が最重要なので、まずは選んだ初学者向け誦読音声を言語でなく聞こえたままの音としてすぐに追いかけて口真似し、言語音系統、とくにピッチと強度の微調適合/FINE ADJUSTMENT FOR FITTINGについての「運動発達」・「強化学習」の経験を身体的に積むところから始めて、韻文の読解へとのぞみたい

6、機械翻訳エンジン
●『百度(BAIDU)文本翻译』(中日日中変換に対応、https://fanyi.baidu.com/#zh/jp/
― 固めの書面語なら現在の無料ウエブサービスでは最高品質で長文でも高速(入力には現在10000字制限あり) スマホアプリには「BAIDU TRANSLATE」がありこちらだと中国語文法チェックと修正文提案までしてくれる

7、メディア
●『新浪科技―新浪网』(https://tech.sina.com.cn/
― 科学技術のほか上位『新浪网』には多分野のニュース・CGMサイトがある
●『HAO123』(https://www.hao123.com/
― 網羅的に市井の流通情報がとれるアグリゲーションサイト、反応にぶい

8、ツール
●『中国語よめ~る君』(軽量WINソフトウエア、窓の杜ダウンロード:https://forest.watch.impress.co.jp/library/software/chinayomeeru/
― 日本漢字・簡化字・繁体字の相互変換などに便利 OS付の中国語ピンイン変換とあわせて文字入力につかう
●『CDBurnerXP』(中国語ファイル名に対応したCDROM作成フリーウエア):https://cdburnerxp.se/en/home
 ― いろいろためしたがフリー版のオーディオCD作成だとこれしかうまくうごかなかった ソースが44KHZ・WAVでなくてもきちんとつくってくれる
●『中国語のピンイン変換ツール』(http://chugokugo-script.net/hatsuon/pinyin-henkan.html
 ― 簡化字文をいれるとピンインルビつき文に変換してくれ、コピペでタグつきHTMLコードを利用できる便利なウエブサービス
●『オンラインで中国語学習 NetChai Media』(https://media.netchai.jp/tool/
 ― 同上機能のピンイン変換サービス 字間・改行レイアウトがことなる
●「ブラウザのブックマーク機能でつかえるポップアップ辞書・画面一括ピンイン変換」
 ― 「中国語文全文をカーソル操作でポップアップ辞書参照する(ピンイン・代表語義)」:マンダリンスポット(https://mandarinspot.com/bookmark)から「pinyin」ボタンをブックマーク欄にドラッグドロップしてつかう
 ― 「中国語文全文にピンインでルビをふる」:PaoChai記事「中国語【ウェブ記事読解】用の神ツール!pop-up辞書とピンイン振り(完全無料)」(https://paochai.jp/media/popup-dictionary#i-5)を参照してマンダリンスポット機能を改変する
●「繁体字フォント」
 ― OSベンダー標準のフォント「dfkai-sb(kaiu.ttf)(アップルならBiauKai)」をインストールする

9、書籍購入
スマホに「陶宝/TAOBAO」・「ALIPAY」アプリをいれ、簡単にクレカ決済で中国書を輸入できる 決済は陶宝(アリババ社のオンラインショッピングシステム、天猫/TMALLも陶宝のECサイトの1)にスマホショートメール認証などでログインしてから、同社の決済サービスALIPAYで「国際決済」としてVISAがつかえるので、仲介信販会社からの認証を経るなどして注文確定できる 国際小包は商品購入時に「集運」をえらぶと輸出倉庫(山東半島先端だった)にまず集結させるので、ひとまとめ倉庫に着いたら(陶宝アプリ – 我的陶宝 – 跨境物流 – 待集運にて確認できる)簡単な指示どおり同梱して海外船便の手続き・支払いを別途する(10KGで4千円、海運でも安くない)
― さがしてる絶版ものもたいていみつかる(総価格は安くない、日本アマゾン・日本商社ほかでみつかればそちらが便利)
― PCからブラウザ操作で陶宝を利用したネットショッピング(「優若図書専営店」https://youruots.world.tmall.com/shop/view_shop.htm?spm=a1z09.2.0.0.343a2e8dOYp4IWなど)を試すとあれこれの不具合(ALIPAYとVISAの接続が現在おかしい)で大変だったため、すくなくとも業者連絡や決済にはスマホからのサービス利用が現在ととのっている
― サポート依頼や店舗からくる連絡には中国語の覚悟がいるがたいてい通じるし親切な店がおおい 陶宝での買い物はアリババグループの底力をみることができたとえば物流を毎日のように詳細モニターできて(陶宝アプリ – 我的陶宝 – 我的訂単にて)これがたのしい

10、歌
中国語で歌を歌ってみたいときの参考に:
・テレサテン『君之千言萬語』(CD40枚箱組のうち21枚が普通話中国語(国語)盤、ユニバーサルミュージック香港・台湾2013)
・テレサテンの中国語吹込み曲の全歌詞は台湾のマニアウエブサイトに:君家後院『看我聴我鄧麗君』(参照 2023-07-07、http://www.iteresateng.com/

11、その他の読解学習法紹介
Imre Galambos『Learning Classical Chinese efficiently』(YOUTUBE4’16”、https://youtu.be/L6x4l3LW3fU
 ― 初学者への古代中国語マスターノウハウをケンブリッジ大の教授が伝授するシリーズ(語学基礎を修得する段階では、対象国古代文献の多義解釈問題に触れず、母語原著の有名な物語を近代(C1840以降)中国語翻訳と逐次対照させて読むとよいとのこと 最近の母語原著小説とその中国語翻訳でもうまくいくだろう)

参照:
1WELLS&HOUSE(英UCL)『IPA transcription systems for English』(2001、https://www.phon.ucl.ac.uk/home/wells/ipa-english-uni.htm
2キャットフォード『実践音声学入門』(2版、大修館2001、対応原著はCATFORD『A PRACTICAL INTRODUCTION TO PHONETICS』(OXFORD U.P.1988))
3佐久間P(名大)他『言語学入門』(研究社2004)
4谢『(FSTC資料)』(2023-02-25参照、http://fstc.main.jp/cIPA.htm
5SHIBLES,WA.(UPENN)『Chinese Romanization Systems: IPA Transliteration』(1994、PDF2MBへのリンクあり:https://sino-platonic.org/
6北京大学中国语言文学系『汉语方音字汇』(第2版重排本、語文出版社2003)
7『汉语方言常用词词典』(浙江教育出版社1991)
8平井勝利『中国語の児化韻母の音価について』(中国語学1969)
9馮蘊澤『中国語音声の記述と音韻論的分析』(博論、関西大学2013、リポジトリにPDF5MBへのリンクあり:https://kansai-u.repo.nii.ac.jp/records/262
10中国政府外発『漢語拼音方案』(1958批准)

(変更 2024-04-27)

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