李白 – 贈汪倫
1、目的
初学者学習のため漢詩の現在中国語朗誦音声と、あわせて誦読するためのピンインと、訓釈の例と、をメモにのこす(シリーズ目録:『漢詩の杜』https://t4h2.com/kanshi/)
2、朗誦音声データ
学習中の『汉语听力速成・入门篇』(2版、北京語言大学出版2011)での発話音と演播者の朗誦音声が合うものを選んだ
●三江水『赠汪伦 李白』(女声、YOUTUBE0’32”、https://youtu.be/To1EBQeKIM8)
3、簡体字正文+ピンイン注音
赠汪伦
李白乘舟将欲行 , 忽闻岸上踏歌声 。
桃花潭水深千尺 , 不及汪伦送我情 。
4、コメント
●「踏歌」とは大勢で手をつないで隊列をつくりリズムにあわせて足を踏んで歌をうたう歌謡型式で、ふるく晋代(C.3 – 5TH)に「相与連臂、踏地為節、歌…」との歌謡儀礼を収穫祭にて奉納と記録がある*1
●踏歌は日中また他地域において祭祀・宮中行事・民間における歌謡つき舞踊として大小集団にてさまざまに分岐融合してきた民俗といえる(*2-3) 民間歌舞としての踏歌の派生流伝の1に、歌垣における歌合戦とフォークダンスとの融合形態がこどもあそびになったものとも推測できる「はないちもんめ」がある またNHK紅白歌合戦も、集団での手つなぎ足踏みは各種マスゲームに翻訳されまた季節設定もことなっているが、男女掛け合いの歌垣芸能を正月を迎えた夜(大晦日の日没後)に奉納する祭事にみたてて続けているのだろう
●民謡歌合戦など歌合戦祖型の歴史をしらべたらおもしろそう 宮本常一『忘れられた日本人』には歌合戦勝者総どりの民俗が収録されている
5、訓釈例
●松浦友久P(早大)編『校注 唐詩解釈辞典』(再版、大修館1998、P1.621)
●前野直彬EP(東大)編『唐詩鑑賞辞典』(18版、東京堂1998、P21)
●武部利男P(立命大)『李白上』(中国詩人選集7、岩波1958、P1.93)
●钱志煕P(北京大)他『李白诗选(古代诗词典蔵本)』(商务印书馆2016、P138)
参照
1趙維平『奈良、平安時代における中国音楽の受容と変容 ― 踏歌の場合』(日本研究2011、日文研リポジトリへのPDF2MB直接リンク:https://nichibun.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=490&item_no=1&attribute_id=18&file_no=2)
2土橋寛『古代歌謡と儀礼の研究』(岩波1965、P413-419)
3工藤隆『歌垣と踏歌・燿歌・遊部の関係について』(アジア民族文化研究2016、リンク先にPDF27MB:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajiaminzokukenkyu/15/0/15_171/_article/-char/ja/)
(変更 2023-05-15)
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