1、緒言
ST MICROELECTRONICS社「TDA7498E」BTL-デュアルD級パワーアンプICの組立済みモジュールがいろいろ売られており、2CH各160[W]出力と家庭用に十分な出力で2千円台と安いので居間用オーディオ・簡易エレキギターアンプとして家で活躍している
●オーディオアンプ用は負荷ALTEC「755C(8Ω)」に対して、AC降圧したQUAD「405」(100[W]@8[Ω]パワーアンプ)ジャンクのDC電源を内部からとりだして供給
●簡易ギターアンプ用は負荷CRATE「E12H(16Ω)」に対して、TC ELECTRONICS「CLASSIC450」(450[W]@4[Ω]ベースアンプ)ジャンクのDC電源を内部からとりだして供給
という構成の電源を現在は使用しているが、もっと簡便に安くそこそこ高品質のパワーアンプモジュールとしてつないこなせないかと考え、この7498ボードへの電源の構成方法をさまざまに検討してみた
2、考察
一般にオーディオアンプ・楽器用アンプの音質を高級品領域でまず分けているのは電源回路と言われている トランスのコイルを1巻ずつ接着剤で鳴き止めして音響動作時の電流変動に伴うコイルの振動によるインピーダンス変動(例えばバネリバーブ効果)を抑えたものがよいとか、電源投入時に負荷に突入電流が流れてこないような常駐のスロースタート電源保護回路・その類似構成を実現した電源構成ではまずだめとか、一般に可聴域での振幅・位相特性や非線形性に起因する高調波歪特性・信号内相互変調歪特性などの水準の低い電源・線路・部品構成では、音響動作時の負荷に必要な電流を正確に取り出せず負荷を望む音質で駆動することができないだろうと言われている
出力の大きいエレキギターアンプ(コンボ・ヘッド)やオーディオアンプ(プリメイン・パワーアンプ)なら要求される14 – 36[V]の直流電圧は電源として内部から取り出せそうだ 参考になる音質比較実験資料の1にTak Kon氏『TDA7498E D級アンプに使用する電源による比較(ボーカル編)』(YOUTUBE、参照2025-03-10:https://youtu.be/0hilfC0oKqc)があり5[A]電源を使用している 廉価スイッチング電源ではまず背景ノイズがうるさいとわかる 低ノイズスイッチング電源では音ヤセ・にせ音の目立たない望む音質が得られるだろうか? 計測装置向けのAC駆動低ノイズDC電源にはテクトロニクス社の可変電源をよくつかっていたが… 現在安価に入手するなら例えばオーディオ用32V仕様ACアダプタが十分目的に足りそうだ
DC電源装置を用いて7498ボード2個体に対して音質に拘らない当たり実験をおこなうと、公称6[Ω]ダイナミックスピーカ負荷2CHに対して、無信号入力時の供給電圧 – 電流の組は例えば15[V] – 71m [Adc]・0.1m[AacRMS]、24[V] – 77m [Adc]・0.1m[AacRMS]でありICを基盤駆動するバイアスDC電流は驚くほど小さかった 起動時には7498ボード内部の電源構成を充電するための0.8[A]より大きな突入電流が流れその起動時間は0.5[s]より十分短かった またポピュラー音楽入力時に家庭内鑑賞条件(机上再生音量程度 例えば定常時の平均供給パワ~0.2[W]、このときの最大瞬時パワ~1.8[W]の水準の電気的パワをスピーカ2CHに供給する ここでランダム交流信号振幅においてそのピーク波高値は99.7%の通過確率において振幅実効値x3と概算した)にて正常動作駆動する電圧 – 電流の測定値は例えば24[V] – 83m [Adc]・1.2m[AacRMS]だった これらからこの7498ボードは家庭内使用時にはD級アンプならではの極低消費電力でありボード内部の電源構成(サンヨーOSコン5640u[F]@50[V]耐圧)にも加勢されて外部電源除去比も十分大きい(負荷への瞬時大電流供給はボード内部電源がその大半をうけもつ)ことがわかるため、上の低ノイズスイッチング電源に加えて、想定より電流出力の小さな高性能電源、例えば計測器・センサモジュール・無線機用の電源等を採用しても十分に簡便・安価・高音質の目的に足りるものがみつかりそうだ
3、電池駆動の検討
楽器用の9V型ニッケル水素充電池(満充電8.4[V] – 放電末期7.2[V])が安価に販売されておりこれを直列すれば低雑音電源になる ただし電池寿命が短くこまめに買い替えが必要な点には注意が必要 充電池に300m[A-h]品を選択すると容量が公称通りなら上のあたり実験での消費電流値を採用し起動電流を全く無視すれば3[h]の間欠動作時間が見込める 現行商品だとUSB端子で充電できる9V型充電池はリチウム充電池方式の限定になるようだがその場合には充電接続端子の雑音除去比によっては充電経路を介してACアウトレットに接続したまま目的十分に連続動作ができるかもしれない(このとき充電経路によるショートに注意 複数台ACアダプタでのフロートグラウンド供給にするなど) 同時充電が音質的にNGなら電源SW連動で充電経路を切断すればいい コンデンサスピーカは積層した電池による駆動が音質に効くと言われるがダイナミックスピーカは電流駆動動作のためどの程度奏功するかはわからない センサフロントエンドへの電源や信号上流におけるフィルタへの電源には乾電池(マンガン・アルカリ方式)をよく使用するためうまくいくかもしれない また電動機など起動時に突入電流による大パワ投入が必要な用途向けの充電池(ニッカド方式 おもに電動工具・ハンディ掃除機・髭剃り等向け)の方がうまくいくのかもしれない
まず電源として中古の9Vアルカリ電池2個を直列接続にして7498ボードを駆動したところ、初期開放端電圧16.8[V]、起動時間0.5[s]以下、音響信号再生時の電池供給電流73 – 88m[Adc]・0.6m[Aac](無信号時は70 – 73m[Adc])となり、電池2個の総供給電力1.5[W]にて上の家庭内鑑賞条件でのしばらくの正常動作が可能であった 今回は1時間を超えない連続動作時間にて電池の開放端端子電圧が14.5[V]まで低下し7498ボードは入力電圧電流条件から動作不能(音が間欠的に切れる)となったため、9V型電池なら3台を直列接続すればよいとわかった 高級電源との音質の感応比較試験はいずれ実施したい
公称300m[A-h]の9V型ニッケル水素充電池を新規購入しフル充電したものを3台直列接続して7498ボードの電源とし耐久動作試験を実施すると、上の家庭内鑑賞条件における1回フル充電での連続動作時間は1.7[h]だった
(変更 2025-03-27)
Typical TDA7498E application circuit diagram.
///