中国雑文

日中古代文献の説明様式

日中の古代文献/ANCIENT LITERATURE(=古書、典範化されていない古代書を含む)にあらわれる書面語文についてなにかを説明するときの様式ひな型をまとめる

1、参照/REFERENCE(底本・影像)
2、介入正文/INTERVENED ORIGINAL TEXT(同定・本文批判・正誤・様式揃え等により原文に介入操作を施した正文)
3、解釈/INTERPRETATION(~判断、≜正当に理解し鑑賞すること)
4、翻訳/TRANSLATION
5、議論/DISCUSSION

・慣用の「釈文/INTERPRETED TEXT」は字形・言語音・語義・文義・文脈・異同などを解釈して引いてきた元の正文を修正した介入正文をさす
・校訂・校合・校勘の「校」「訂」はともに「複数をつきあわせ得失比較して1つにまとめる/CONFLATION」との字義
・「校正/EMENDATION・PROOFREADING」は目ざす完成刷りと試し刷りとを校して正当なものに修正し定める行為・結果をさす

作業の内容:
1引く、2作る、3注す、4訳す、5説く
・注とは{そそぐ、ひっつける、しるす}のこと

項だての例:
1、底本、著録(出処をしめす)、影像・影印(資料の写真複製/PHOTOCOPY)
2、原文(含異同・引例)、釈文(原著・影像から文字列を同定し便宜的介入をほどこした原文、解釈の説明のために改変された原文、含校訂・誤訛修改)
3、注解(=注釈とも、「注解」の出典は(唐)孔『尚書正義 – 尚書序』に“佐成序義、明以注解故”)、解読(文解説の義)、注(元の文に逐次の注/ANNOTATIONを加えて部分解釈や出処等を説明)、疏(そ、=義疏・正義、≜注の注や講義録などのさらに詳密な追加解釈の説明)
4、訳文、白話文(現在中国の書面語文・近代の口頭語様式の書面語文)、訓読文(日本訓点文また書き下し文、古代日本書面語文をつかう直訳読解法書面語文の1)
5、考察/CONSIDERATION(含研究/RESEARCH)、批評/CRITICISM(含査読/REVIEW)、論点/ISSUE(含説明/PERSUASION・意見/CLAIM)

参照:
橋本不美男P(早大)『原典をめざして』(4版、笠間1983)
藤堂明保P(東大他)編『漢和大辞典』(学研1978)
小川環樹EP(東大)他『漢文入門』(岩波全書1957)

(変更 2024-05-18)

王輝『中国古文字导读―商周金文』

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