中国紫霞

白氏文集巻子本(鎌倉時代)の「華原磬」

中国美人画展図録への瀬戸内晴美の寄稿文*1に、『源氏物語』には “一目瞭然[…]二十数カ所にわたって、「長恨歌」が引用されて” とあったので、冒頭の桐壷をよむまえに白居易の『長恨歌』を原文でよむとよいかと影響され、あれこれやってみることにした

まず、紫式部が参照したとされる平安時代中旬にすでにはやってた白居易の著書『白氏文集』をかんがえると、300年下った鎌倉時代末(C.1324)の写本(宮内庁蔵、慶大斯道文庫の書陵部DBに書誌情報)であれば巻子本(書巻)の雰囲気がカラー影像でつかめる:
『書格>宫内厅书陵部汉籍(写抄本)>白氏文集.存卷3.唐.白居易撰.元亨4年藤原时贤转写菅家证本』(中国古書影像ウエブ、参照 2023-04-27、https://new.shuge.org/meet/topic/26392/

このうち適当に「華原磬(かげんけい)」をピックアップして、影像のクロップと文字転記をメモにしてみた(画像のファイル名を漢詩全文にしてみた)
『中国哲学書電子化計画』*2の対応ページで漢字それぞれのピンインと字義をざっとみると、詩篇の最後はおそらく「今の黄河中域(長安まわり平原)の石琴(騒声)と古の泗河(淮河の支流)の浜の石ころの打音、清濁両声を誰が(一度に)得知できようか」なんだろうなとよめる(よみちがえてるかもしれない)

磬(けい)はもともと石をつるして打つ類の楽器(多数の石で音階をならべる)
「編磬」の演奏例:
『06 编罄独奏 (Chime Solo – Running Water)』(YOUTUBE2’47”: https://www.youtube.com/watch?v=6gKxXnUeHCc

白氏文集鎌倉時代(C.1324)写本部分(宮内庁蔵)

“華原磬〇刺楽工非其人也〇天寶中始廢泗濱磬用華原石代之詢諸磬人即曰長老云泗濱磬下調之不能和得華原石考之乃和由是不改〇華原磬〻〻〻古人不聴今人聴泗濱石〻〻〻今人不擊古人擊今人古人何不同用之捨之由樂工〻〻雖在耳如壁不分清濁即為聾梨園弟子調律吕知有新聲不知古〻稱浮磬出泗濱立辯致死能感人宫懸一聴華原石君心遂忘封疆臣果然胡冦從燕起武臣少敢封疆死始知樂与時政通豈聴鏗鏘而巳矣磬襄入海去不歸長安市児人為樂師華原磬与泗濱石清濁兩聲誰得知”

参照
1『中国歴代女性像展』(図録1987)
2『白氏長慶集 : 二v3~5閑適一·古調詩 – 中國哲學書電子化計劃―「華原磬」』(ウエブ文献、参照 2027-04-27、リンク先テキスト左の青アイコンおすと漢字解説(言語音・文字英訳)がでる:https://ctext.org/wiki.pl?if=gb&chapter=87776#%E8%8F%AF%E5%8E%9F%E7%A3%AC
3『磬中之王——虎纹石磬 | 国博·讲述』(ウエブ記事2018、参照 2023-03-25、https://www.sohu.com/a/226329040_687828

(変更 2024-01-23)

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