中国

吉田恵(同志社大)の漢字かなまじり文

同志社大教員だった吉田恵(よしだめぐむ、1926-)の『李白』日本語翻訳文が、詩歌・散文ともかなのおおい良文なので、あまり情報とれないなかまとめておく 50年代ころの学術刊行書・論文にてこの文様式(のちの梅棹忠夫・ドラゴンクエスト文などにつづく)で論著かいてるひともっといなかったかしらべてみたい

刊行書:
王瑤著(吉田恵訳)『李白』(三一書房1957)

論文:
同志社大リポジトリ(参照 2023-05-17、https://doshisha.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_snippet&page_id=13&block_id=100&creator=吉田+恵
グーグルスカラー:追加13件を確認(参照 2023-05-18、https://scholar.google.com/scholar?q=”吉田恵” -電気製鋼 -歯科学会 author:”吉田恵”&as_sdt=0,5&as_yhi=1980

公開訳文の1例:

李白 – 酒を手にして月にたずねる 
 
青空にてる月よ 
ぜんたいいつの昔から 
そこにいるのか 
さかずきをとる手をやすめ 
ちょっとおまえにたずねたい 
 
人が月までよじのぼるのは 
さかだちしてもできぬこと 
けれども 月はどこまでも 
人といっしょについてくる 
 
おお まっしろにかがやくものよ 
仙人の宮殿の 
朱塗りの門のそのうえを 
とんでゆく鏡のように 
みどりのもやのはれたあと 
きよらかな光りをはなつ 
 
夕闇のせまるころ 
海の果てからやってくる 
おまえの姿 
夜明けになれば いつのまに 
雲の向うへしずむことやら 
 
しろうさぎ 
薬の草をつくうちに 
秋はゆき また春がくる 
嫦娥 じようが はひとりでわび住まい 
こんにちは をいう相い手もいない 
 
今の世にすむ人は 
昔の月をしらないが 
いま青空にてる月は 
昔の人をしっている 
 
昔も今も 人はみな 
水の流れのようなもの 
ながれるままに月をみる 
いまもかわらぬその心 
 
なにはさて 
うたいつつ酒をくむとき 
月の光りよ 
こがねの樽の底ふかく 
いつまでもてらしておくれ

― 王『李白』より

(変更 2023-05-22)

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