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李(北京言語大)『国の言語能力を積極向上させるには』(ウエブ翻訳記事2023-01-17)

原資料を百度AI翻訳(https://fanyi.baidu.com/#zh/jp/)し、よみやすく整えたものです 中国語読解初歩は『初学者の中国語読解学習法』(ウエブログ2022、https://t4h2.com/2022/12/28/4654/)を参照ください

李(北京言語大)『国の言語能力を積極向上させるには』(ウエブ翻訳記事2023-01-17)

原資料:李宇明『积极提升国家语言能力』(中国社会科学网ウエブ記事2023、参照 2023-02-03:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1755249801399114545

 言語は、人が世界を認識し、世界を描き、世界に適応する手がかりである。これは言語のもつ三機能であり、だからこそ、個人も集団も一定の言語能力を持たなければならないと考えられている。個人の言語能力は「個人が言語で生活上の事務を遂行処理する能力」と定義される。これに対して集団の言語能力という概念が前世紀末に提案され、重要な科学的価値と社会的意義をもつに至っている。
 国の言語能力はこの集団の言語能力の1例であり、「国が言語で国内外の事務を遂行処理する能力」と定義することができる。陸倹明、文秋芳、魏暉、趙世挙、張天偉、楊亦鳴、蘇金智らは、国による言語施策としての、内外の言語リソースの把握と利用状況、提供されている言語サービス、言語に関する問題の処理、言語関連事業の奨励発展などを検証してきた。国の言語能力は、一般的なガバナンスだけでなく、外交能力、国防能力、地政学的戦略競争力など、国の安全や発展といった最重要課題に影響を及ぼしうる。他国における言語計画目標も同様であり、各国の意思決定に基づいて国内の言語環境を管理制御して、市民生活を和諧させている。

言語施策の目的

国の言語能力に対して、以下の5項目が理想的な要件になるだろう:
(1)言語、およびそれが担う文化やそれを使用する人々を理解すること。
(2)国の古典文献に正当な現代語訳が準備されていること。
(3)自国語と他国語との間の翻訳ニーズを十分満たすだけの翻訳者がいること。
(4)言語と文化を研究する専門家が多く活躍し、専門教育機関での課程が広く開設されていること。
(5)言語を扱うための最新科学技術を高い水準で保有すること。

 また国は、行政、外事、軍事安全、新聞世論、科学技術教育、経済貿易の6分野において十分な言語能力を持っていなければならない:
(1)行政分野では、政策や法律の制定と実施、都市部から田舎までの行政管理、各業界における言語サービスなどが必要である。
(2)外交分野では、すべての国や国際組織とコミュニケーションを結ぶ能力、国際組織で活躍できる能力が必要である。
(3)軍事安全分野では、現代的な安全保障の視点から見ると、言語は一国の軍事力の一部を構成しており、重点戦力の域に入っているとも言える。「言語的装備」は多くの国において国防用語となっている。周辺国の言語、重点国の言語、平和維持地域での言語などは、軍事安全を履行する1項目として把握しておくことが必要である。
(4)新聞世論分野では、主に世論の話題を適切に設定し、説得力のある回答を準備する能力が必要である。
(5)科学技術教育分野では、国際的に多用される約20言語を用いて得られる各分野の深い専門知識を保有しておくことが必要である。
(6)経済貿易分野では、国内において外国語教育の手薄な地域(例えば、中東欧、中央アジア、サハラ以南のアフリカなど)に、我が国の経済貿易活動がすでに広がっている状況を十分に考慮することが必要である。特に「一帯一路」構想の実現には、より高い水準の言語能力が期待されている。我が国の経済貿易活動に対して官民がどのような言語的支援を提供するのかは、現代の大きな課題となっている。

扱う言語種の目安

 世界における約7000の言語を6つの大系統に分けて考える。第1グループは、世界共通語である。現在は英語だけがこの地位を占めている。第2グループは、中国語、フランス語、ロシア語、スペイン語、アラビア語、ポルトガル語、ドイツ語、オランダ語、ペルシア語、マレー語、ヒンディー語など、国際的に常用される、またはある広域での共通語であると言えるもので、約20言語ある。第3グループは、大小それぞれの国での自国語や公用語、作業言語とみなせるもので約100言語ある。第4グループは、特定の国内における地方言語や方言である。例えば、イギリスでのウェールズ語、インドでのテルグ語、マラー地語、グジャラート語、マラヤラム語、アッサム語、中国でのモンゴル語、チベット語、ウイグル語、カザフ語、朝鮮語、イ族語、また広東方言、福建省南部方言、客家方言、上海方言などであり、このグループには数十~百近くの言語がある。第5グループはマイナー言語種で、6000言語以上あり、絶滅が危惧されるものも多い。第6グループは古代ギリシャ語、ラテン語、サンスクリット語などの文化言語である。

 最初の2グループにおける約20言語は、1言語の使用人口が5000万人以上の世界的に機能する言語である。第1〜第4グループの約200言語で集計すると、1言語の使用人口は400万人以上となる。現在の世界言語状況において、国は20ないし200の言語能力を持つべきである。最も重要な約20言語を熟知し、新しい知識を獲得してグローバルガバナンスに積極参加すること、そして約200の基本言語を十分に把握して、世界にむけ自国を語り、よりよい人類共同体を構築するために重要な役割をはたすことが求められている。

具体施策の提案

 まず第1に、国の言語安全戦略を制定することが必要である。国の言語能力の発揮する戦略的意義を十分に認識し、国の発展の必要に応じて、重要な言語的国家計画を立案しなければならない。また、世界言語研究機関を構築し、世界的規模での言語のシステム研究を行う必要がある。既存の地域・国別研究センターにおいても、たとえば、地域・国別言語研究を計画的に行う、外国語教育の質を高め、外国語と専門能力を兼ね備えた人材を育成する、留学生を米欧などの先進国地域に派遣するだけでなく、アフリカ、ラテンアメリカ、中東、中央アジアなどへの留学生の派遣を支援し、国益を広げる過程で信頼できる安定した言語人材を確保する、海外の華僑同胞と国境を越えた民族の言語潜在力を掘り起こし、外国語人材と海外の自国語人材の双方向育成を実現するといった活動が必要である。

 第2に、市民の第2外国語選択を支援指導することが必要である。現在、我が国には約100言語での外国語教育課程しか開設されておらず、多くの他言語について開設されたばかりなど現実的な言語能力を獲得できるだけの体制ができていない。個人の言語能力開発は主に言語教育市場に委ねられ、人々は単に各言語の人気ぶりによって、どの言語を学ぶかを決めているだけの事が多い。国の言語能力の発展は、既存の市場に依存するだけでなく、ある程度は国の政策に基づいて、市民の第2外国語の選択、学習と社会貢献を支援指導していかなければならないだろう。これは国の外国語能力を拡充する最も有効な方法であり、政府の計画や政策と連動させる必要がある。

 第3に、各分野の言語能力を高めることが必要である。外交分野では、世界的に自国語として使われている言語や国際組織の公用語、作業言語は、いずれも「外交重要言語」としての範疇に属しており、外交使節と国際組織職員の言語能力の育成を強化しなければならない。軍事安全分野の言語人材に対しては、特別な育成が必要である。言語知能時代ともいえる状況において、現代の言語科学技術を身につける能力は同様に重要である。インターネットを利用して国家の安全を維持し、ロボットを利用して軍事力を増強し、ビッグデータを利用して情報分析を行うには、現代の言語科学技術に依拠することが必要である。ニュースの分野では、ニュースメディアの従事者自らが、関連話題に対して長期的な内包研究と表現研究を行ったり、内外への発言権を獲得し、自らのメディアおよび新しい形態のミックスメディアの優位性を発揮していくことを重視しなければならない。現在、スマートフォンやモバイルネットワークが広く利用され、大世論市場を形成している。これも国内外での世論形成の新しい流れであり、十分に活用すべきである。同時に、国境を越えた情報融合の理念、即時相互作用といった情報伝播方式、データベース相互接続による巨大な知識基盤などを十分に利用し、国際的な影響力と発言権の向上に努めなければならない。経済貿易分野では、言語人材市場を構築し、言語に関するボランティアサービスを組織すること。言語人材がその能力を十分に発揮でき、いつでも需要に対する言語サービスが提供されていることが必要になる。

 国の言語能力を高める取り組みは多岐にわたりこれらは1例にすぎない。我が国は言語大国であり言語学習大国でもあるが、まだ言語強国とは言えない。現在我々が直面している大きな問題は、言語への認識の全般的な欠如である。多くの人は個人と国家の発展において言語が重要な意義をもつことを認識しておらず、「一帯一路、言語舗装」、「国家外出、言語先行」といったスローガンに対しても、明確な意義や深い理解に至ることがない。日常においても言葉に対する認識が一般的に薄弱であり、危機を根深くしたり、好機を逃したりしている可能性がある。我々は、これらの課題の各々に対して積極的に挑戦していき、国の言語能力の向上に努めていかなければならない。

(この文書は国家社会科学基金の重大プロジェクト:『「二つの百年」を背景とした言語国勢調査と言語計画』(21&ZD289)の段階的成果である)

著者:李宇明(北京言語大学言語科学院中国言語文字規範基準研究センター)
情報源:中国社会科学網―中国社会科学報


コメント一覧(11件)

自由は夜明けに生まれる
中国語は本当に1文字の担う機能が大きく、我々も気づいていない。。。例えば「私」という字には、実はたくさんのものが含まれていて、「易経」を見ないとほとんど把握することもできない。具体的にどれだけ多くの字義や機能が含まれていることか。。。
01-20 01:16 広東

複眼竜
各方面から「国家XX能力」を高めることはファッションになりがちであり、言語ももちろん例外ではない。
01-23 17:13 浙江

板琪睿07
正直に言うと、私たちの言語能力は世界一だと思います。
01-19 13:08 北京

B56F11スポーツ愛好家
中国語の書面表現は文ではなく語彙単位で断文しなければならず、また多義語が多すぎる。曖昧さが生じやすいため、科学的な規範化がまだ不十分である
01-26 02:22 浙江

区養瑪7
新しい言葉が次々と現れ、新しい技術は次々と姿を消していく
01-20 18:19 青海

ferwfer
中国語には正しい規範が必要であり、表現が不正確で曖昧な言語は良い言語とは言えない。
01-23 09:57 湖北

軽軽e1ruo
受験教育に期待してはいけない。それは国に災いし市民に災いする。
01-19 13:10 河南省

半人半鬼RG
主に人が人の話をするのが基本ですね。
01-23 11:30 北京

巫勃aD
人類は言語を創造し、言語は人類を促進する。
01-18 20:51 江蘇省

中華文化は心身を健やかにする 文化分野の愛好家
#生活# #中華文化を学び健康身養# #文化# 
01-21 20:55 北京

元気少女_祺
英語を積極的に学び世界中と交流したい。世界の先進文化、科学技術、社会を治める能力を学ぶことができる。
01-21 14:01 北京

(変更 2023-08-01)

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